新潟古本屋日記

新潟市の古本屋、フィッシュ・オンのブログです。
古本屋をはじめてはやいものでもう10年。色々と移転しながら現在は沼垂テラス商店街で営業中です。ブログでは入荷した古本、おすすめ本、読書会、イベント出店の情報など更新しています。
古本の魅力をラジオで
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    新潟のラジオ局FMポートから依頼があり、「朝の番組で放送したいので古本の魅力をランキング形式で5つ紹介してほしい」とのこと。古本の魅力はよく考えたりするが、それにランキングをつけようとはいままで思ったことがなかった。なんだか新鮮だったのでうけてみることに。ラジオを聴くひとは古本の予備知識などないだろうから、なるべくわかりやすく説明するよう心掛けた。それと「〇〇な人にオススメな本を5冊紹介してください」と、自分でお題を出して自分で答えるという若干無茶振り気味な依頼もあったがあわせて引き受けた。以下は担当者の方に送ったランキング(あくまで僕の独断と偏見)と説明文。まあラジオを聴くように気楽に読んでみてください。

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    古本の魅力ランキング

     

    次点 過去の人間との対話と共感

     古本の場合、著者がすでに故人だったり、あるいは何世紀も前の人物が著した古典だったりします。読んでいると昔の人も、現代の人も悩みは変わらねぇんだなーと共感したり、はるか昔の物語や小説にどきどきしたりと…本を通して時代を超えて過去の人間と対話できることにロマンを感じます。

     

    5位 書き込みやライン引きなど前持ち主の痕跡

     書き込みやライン引き、手紙、しおりがわりに挟んだ葉っぱ、へそくり(残念ながらまだ出合ったことなし)など。一古本好きの視点でみると以前の持ち主の痕跡は興味深かったりします。けど古本屋としてみるとマイナス査定なので5位。

     

    4位 絶版本(ぜっぱんぼん)が手に入る

     出版社が重版(じゅうはん)することを断念して、新刊書店などの一般流通からの入手が困難となっている本を「絶版本(ぜっぱんぼん)」といいます。もし自分が探している本が絶版本になっていたら…もう頼れるものは古本と古本屋しかありません。

     

    3位 思い出の再生装置として

     いい年をした大人が、かつて大事にしていた絵本をみつけると子どもに返りテンションが上がる。そんな場面を店頭でよく見かけます。絵本に限らず、青春時代に読んだ小説、受験で使った赤本…など、古本は眠っていた往時の思い出を呼び覚ましたりもします。

     

    2位 時代を超えても色あせない凝った装丁(そうてい)

     装丁(そうてい)とは、ざっくりいうと本のデザイン・外観・造本。その時代、時代の気鋭のデザイナーや装丁家が気合をいれてつくった本は見どころ十分。表紙のデザインに有名画家や写真家の作品が表紙に使用されることも。また見た目だけでなく紙質や箔押しなど手触りにこだわった本もあります。

     

    1位 掘り出しものとの出合い

     本の価値は人それぞれ、ある人にとっては「100万円だしてもほしい!」という稀少な古本も、興味がない人にとってはただの紙束。古本屋の価値観もまた店それぞれ、ある店にとっては高価な値段がつけられる本が、ある店では100円均一棚で埋もれていることも…。自分の価値観だけをたよりにトレジャー感覚で均一棚からお宝を見つけ出す楽しさ。「こんないい本がこんな安く!」これぞ古本の醍醐味、ということで1位。

     

    ○○な人にオススメな本5冊

    ・ユニークな大人になりたい人におすすめな本
    『年をとったワニの話』レオポルド・ショヴォー、出口裕弘訳
    ユニークとかエスプリって、言葉は知っててもうまく口では説明できない。けどこの本を読めばわかるはず。つきはなされたような印象の結末から、じわじわくるおかしみ。

    ・これから結婚する人におすすめな本
    『ねこに未来はない』長田弘
     新婚生活に「ねえ、わたしたち、なによりもまず、ねこを飼いましょうね」と提案され、渋る主人公に「ねこ背のひとがねこをけいべつすることは矛盾しているわ。」と説得する奥さん。まんまとまるめこまれ猫中心の生活をおくることになる若い夫婦の物語。しかし世は猫受難の時代、飼うねこ飼うねこが次々と姿を消す事態にもへこたれないたくましい夫婦の姿はこれから結婚する人たちにぜひ読んでほしい。

    ・おじいちゃん子におすすめな本
    Takuji』若木信吾
    写真に興味を持ち始めた若木信吾さんが写真を撮る練習のモデルにしていたのが祖父「Takuji」の写真集。「練習で撮っていた彼が実は自分の本当に撮りたいものだった。」というほど重要な被写体。それにしても老人の写真はなんでこんなに絵になるんだろう。自分がおじいちゃん子だったからだろうか。
    梅佳代の『じいちゃんさま』とどっちがいいか迷ったけど、『Takuji』の渋さに軍配。

    ・海が好きな人におすすめな本
    『柳原良平 船の本』
    自称「船キチ」柳原良平が船の魅力を熱く語る本。イラストレーターで「アンクルトリス」の生みの親でもある著者の挿絵が随所に使われていて眺めているだけでも楽しい一冊。読んだあとは朱鷺メッセの展望階へ佐渡汽船の船を見にいきたくなる。

    ・コレクターを目指している人におすすめな本
    『蒐集物語 私版本 柳宗悦集 第四巻』
    「蒐集(しゅうしゅう)」コレクションすること。民藝運動の創始者であり、日本民藝館の創立者である著者が、真にものを愛する心と、蒐集の心得の真髄を、豊富な体験にまつわるエピソードをまじえて解き明かす。特に「貧乏人の蒐集」という文章の中でお金持ちのコレクターに「あの連中が民藝品などを買うのは、金がないからだろう」と馬鹿にされた話では「高い金を出してよい品を買うことであったら、当り前なこと以上ではないようにおもえる。誰だってできる平凡なことではないか。」とやりかえすさまは痛快。


    インフォメーション

    ※放送の最後にしてくれるお店の宣伝。ここまで色々頑張って書いたのもこの“ご褒美”のため。苦手な宣伝を自然にできるチャンス。


    USED BOOKSフィッシュ・オンは沼垂テラス商店街にて金・土・日曜日(天気の良い日は平日も不定期営業)営業している古本屋です。○○な人におすすめな本5冊で紹介した本はフィッシュ・オンにて販売しています。
    また徒歩10分ほどの蒲原町に姉妹店「古本もやい」(営業日は金・土・日)もあります。特に「古本もやい」は絶版本や時代の古い古書を多くとりあつかっておりますので、今回紹介しました古本の魅力を味わいたい方は「古本もやい」がおすすめです。

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    以上の説明文をメールした4日後が放送日。ちょうど在宅しておりリアルタイムで放送を聴くことができた。察しのよい方ならもうお気づきだろうがとりあげていただいたのは遠藤麻理さんの「モーニングゲート」。さすが本好きな遠藤麻理さんだけあって、僕がメールで送ったものに、さらに興味深い情報をプラスしてお話してくれました。いやー頑張った甲斐があったなーと感激しつつ最後のインフォメーションを聴いていたら、姉妹店「古本もやい」を紹介するくだりがまさかのばっさりカット。今回の依頼はあくまで「フィッシュ・オン」にきたものなので当然といえば当然だし、限られた放送時間の関係上しょうがないっちゃあしょうがないがやはり残念。古本の魅力1位で紹介した「掘り出しものとの出合い」の醍醐味は古本もやいが一番味わえるのにな〜。

     

    さて上記の放送を聴き逃した方へ。FM PORTのホームページに、今回の放送の模様が文章でアップされてます(遠藤麻理→MORNING GATE→エンタメ・フラッシュランキング 放送日2018.11.12 「古書の魅力をこしょっと教えるランキング」)。実際の放送をほぼ再現してあるので、僕が上で書いた文章と見比べてみても結構面白いです。蘊蓄がプラスされたり、助長すぎる部分やあやふやな情報はカットされたり、不適切な言葉は言い直されてたりしてます。そして注目は最後のインフォメーション。なんと放送では割愛されたはずの「古本もやい」のことがちゃんと書いてありました。サンキューFM PORT

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